英語で「作る」と言いたいとき、何を作るかによって単語を使い分けます。
建物ならbuild、農作物ならgrowですね。しかし、一番基本的な単語はmakeです。
同じようにフランス語でも、建物を作るならbâtir(バティール)、農作物を作るならcultiver(キュルティヴェ)などといろいろな言い方をしますが、一番基本的な単語はfaire(フェール)といいます。
ですから、ここではfaireという単語を見ていきましょう。
faireの発音
フランス語ではaiという二重母音はいつでもエと発音します。
ついエイと言いたくなってしまいますが、「援助」を表す英語のaid(エイド)もフランス語でaideと綴るとエドと読まなくてはなりません。
語末のeは発音しませんので、reと書かれていてもレとは読みません。
子音のrを単独で発音するので、ルとなります。
カタカナでルと書くと日本人はruと言ってしまいそうですが、もちろんそうではなくて、子音のrだけを母音をつけずに発音してください。
したがって、faireは全体としてフェールと読むことになります。
faireの語源
フランス語のfaireの語源はラテン語のfacere(ファケレ)です。
意味は今も昔も大きくは変わりませんが、長い歴史の中でcの文字が失われました。
イタリア語でも今はfare(ファーレ)と変化しています。
ちなみにfacereの過去分詞に相当する言葉はfactum(ファクトゥム)ですが、これが「なされた行為」というところから「事実」という意味が発生し、英語のfactに至っています。
ここでもフランス語はcの文字が失われて、fait(フェ)となるんですね。
このfaitに「完全に」という意味の前綴りper(ペル)をつけると、perfait(ペルフェ)という食べ物になります。
なんだか分かりますか?
完全に作られた、英語でいうところのまさにperfect(パーフェクト)なスイーツ。
つまりそれがパフェなのです。
faireの用法
フランス語のfaireは基本動詞ですから、たいていの「作る」場面で使えます。
例えばfaire le pain(フェール・ル・パン)といえば「パンを作る」、faire une maison(フェール・ユン・メゾン)といえば「家を作る」、faire du blé(フェール・ドュ・ブレ)といえば「小麦を栽培する」。
つまり、最初に書いたbâtir(バティール)やcultiver(キュルティヴェ)を知らなくても、faire一つ知っていれば何とかなるのです。
用法もたくさんありますが、一つすぐにでも覚えてほしいものがあります。
「Il fait(イル・フェ)+形容詞」という構文で、天気や気温を表すことができるのです。
Il fait beau.(イエ・フェ・ボー)
といえば、「いい天気だ」という意味になります。
Il(イル)は普通「彼」を表す人称代名詞ですが、ここでは英語のitと同じで漠然と状況などを表しています。
fait(フェ)は先ほど書いた過去分詞と同形ですが、ここではfaire三人称・単数・現在の形です。
フランス語の動詞は、英語の三単現どころではなく複雑に変化するのです。
そしてbeau(ボー)が「美しい」を表す形容詞。
英語のbeautifulと同語源ですね。
この構文は初級の会話で必ず出てきますよ。
作るはfaire
いかがでしたか。
faireは基本中の基本の動詞です。
したがって意味の範囲も広く、用法も多岐にわたりますから、意外と奥が深いのです。
長いフランス語学習の中で繰り返しで会うことによって、語感を体にしみ込ませていきたいものです。